3月21日 動物園の鳥インフルエンザの予防
(カテゴリ:獣医師の雑談) (投稿日:2022年03月21日)
もうすぐで春がやってきます!
暖かくなって、動物たちも活動的になってきたかな。
個人的にも、だんだん暖かくなってきて、嬉しい限りです。
(山口県1年目の冬でしたが、とても寒かった・・・)
はいっ!鳥インフルエンザのお話の続きです。
前回は簡単に鳥インフルエンザについて説明しました。
鳥インフルってなに??(コチラ!)
ちょっと間があいてしまいましたが、ご容赦ください。
現在も世界中、日本中で発生が続いている鳥インフルエンザ!
ときわ公園でも2011年に飼育していたコクチョウに感染が確認され、
ハクチョウ類の全羽殺処分という悲しい歴史があります。
そんな悲惨なことを再びしたくない!
動物園、公園の鳥が鳥インフルエンザにかかってほしくない!
そこで大切なのが「予防・衛生管理」です。
ときわ公園・ときわ動物園では
『ときわ公園 高病原性鳥インフルエンザ対応マニュアル』を策定して、
鳥インフルエンザが流行しやすい時期である11月~翌年の4月までは
感染防止のための消毒等を徹底しています。
鳥インフルエンザが動物園内に入ってくることを防ぐためには、
野鳥がウイルスを運んでくるのを防ぎ、
また人がウイルスを持ちこむのを防ぐことが必要です!
それぞれの方法を実際に動物園でどのようにやっているのかを見ていきましょう!
①野鳥がウイルスを運んでくるのを防ぐ方法
・ハクチョウの屋内施設への収容
ときわ湖での飼育をおこなっていたハクチョウたちを11月~翌年の4月は
屋根のある施設で飼育しています。
野鳥からの感染を避けるためですね。
何事もなければ、5月にときわ湖に出てきます。お楽しみに!
・鳥舎の周りに野鳥の侵入を防ぐネットを張る
これはペリカン島です!
ここでは普段もネットを張っています。
担当飼育員が、ペリカンが元気かどうかのチェックをしていますね。
みんな元気そうです。
これはインコ舎です。
飼育員はネットに穴がないかを確認します。
これも大事な仕事の一つです。
・園内の野鳥の糞の除去と消毒
園内に落ちている鳥の糞は見つけたら、取り除いて、消毒を行います。
この前、園内でこんなものを見つけました。
なにか見覚えのある色合い・・・
お客様の落とし物でしょうか。
鳥の糞だけでなく、バイキンも倒さないといけませんね。
このバイキンはもう倒されていたようですが・・・
②人がウイルスを運ぶのを防ぐ方法
・マットによる来園者の靴の裏の消毒
動物園に入るときに黒いマットを踏んでもらっています。
このマットには、消毒液が含まれていて
踏むだけで消毒ができるというものです!
優れモノですね!!
もし鳥インフルエンザにかかった野鳥の糞を踏むと、その靴によって
ウイルスが運ばれてしまいます。
動物園内にウイルスを運ばないようにするためです。
万が一のためです。
・飼育員の長靴の裏などの消毒
長靴ごと、消毒液につかって、靴の裏を消毒しています。
飼育員はいろんな種類の動物の部屋を出入りします。
病気を運ばないようにしないといけませんね。
これは普段も行っていますが、
鳥インフルエンザが流行しやすい時期は長靴を消毒する位置を
普段よりも多くしています。
飼育員がマットに消毒液を撒いています。
何でこんなことをしているのでしょうか。
実はこれ、車のタイヤを消毒するために撒いています。
消毒液を含んだマットの上を車が通ると、タイヤが消毒されるという仕組み!
お、飼育員が消毒に意気込んでおります。
タイヤがきちんと消毒液で濡れて消毒されています。
完璧です!飼育員さん!
動物園の外に出る時も、中に入るときも必要なタイヤ消毒です。
ウイルスなどを持ち込まない、持ち出さないということです。
このようなこまめな消毒も、園内の鳥の健康を守るだけでなく、
来園者の方々、職員の健康を守ることにもつながるのです。
皆様にも、引き続き消毒のご協力をよろしくお願いいたします。
さて話は長くなってしまいましたが、
ときわ動物園では鳥インフルエンザに負けず、
対策、消毒を徹底しております。
安心して園内でいきいきとした動物の観察をしてほしいと思います。
職員一同、お待ちしております。
以上、獣医師の雑談でした・・・
担当:對馬(つしま)