8月6日 汗事情2017
(カテゴリ:獣医師の雑談) (投稿日:2017年08月06日)
こんにちは!
汗だくの獣医師です!!
そういえば汗だくの「だく」ってつゆだくの「だく」と同じなのだろうか?
と思うと、牛丼屋さんを何となく敬遠してしまいます(失礼)。
汗で溺れそうな暑さなので、今日は汗のお話をしましょう。
人間はなぜ汗をかくのか?
もちろん皆さんご存じのとおり、体温を下げるためというのが一番大きな理由です。
水が蒸発して水蒸気になる際にはエネルギーを必要とします。
体表についた水分=汗が蒸発するとき、皮膚表面から熱エネルギーを奪っていくために
皮膚の温度が下がり、涼しく感じるわけです。
皮膚表面が冷えると、そのすぐ下に張り巡らされている毛細血管の血液が冷え、
冷えた血液は全身循環に乗ってより深部の血液を冷やし、
これが繰り返されることで全身の体温が上がりすぎることが防がれる、
という驚きのシステムです。すごいですね。
(今日は字ばっかりなので、涼しそうな画像をちょくちょく挟んでおきます。)
ところが日本の夏は湿度が高いため、
かいた汗がすぐに蒸発せず、上記のような体温を下げるしくみが働きづらいのです。
熱中症による救急搬送や死亡が後を絶たない理由の一端であります。
皆さん、くれぐれもお気をつけてください。
(カピバラの観察はぜひ双眼鏡で!
野生動物を現地アマゾンで観察してる感が激増します。)
さて有名な話ですが、人間と動物とでは汗腺の発達・分布に違いがあります。
「動物は汗をかかない」と聞いたことはありますか?
実はこの表現も厳密には間違いなのですが、
人間と動物とで汗のかきかたが大きく違うのは本当の話です。
ひとくちに汗腺といっても本当は2種類あり...
動物に多いタイプの汗腺からは、実は水分がほとんど出なくて......
動物が熱中症になったかもしれない。そんなときには.........!
と、この話題は長くなりそうなので、また来年にでも取っておきますね。
(フラミンゴは地面に座った姿勢から首を伸ばして水を飲んでいました。
横着だなあ...)
しかし、動物たちはあんな暑そうな毛皮を着て
よくこの日本の猛暑に耐えるなあ...と感心してしまいます。
テナガザルなど、もともと暑いところ出身のサルがほとんどですが
きみたち、見るからに毛が長くて暑そう...。
エリマキキツネザルなんか、ご丁寧にマフラーまで巻いている始末。
むしろ、体表に被毛がほとんどない人間の方が異様なのかな?
動物たちは人間を、ツルツルで気持ち悪いやつらだと思っているかもしれません。
動物用にミストを設置しているところもあります。
体表を濡らし、乾かすことで動物を冷やす作戦です。人工の汗ですね。
とにかく、動物も人間も水分補給をしっかりしましょう!
ちなみに、水を体に効率よく吸収するには、ナトリウムとグルコースが必要です。
大腸は水だけを吸収するのではなく、
ナトリウムとグルコースもセットで体内に取り込むためです。
ですので、ただの水よりも塩と砂糖を少量含んだ水の方が吸収はよくなります。
(水をかけてもらったでヤンス~)
さらにそれ以外にも、ナトリウム、カリウムなどの電解質は
汗と一緒に体から出て行ってしまいます。
これらの補給をするためにも、たくさん汗をかいた後は
スポーツドリンクや経口補水液をある程度利用するといいですよ!
(飲みすぎると糖分の取りすぎのおそれがあるのでご注意を!)
ときわ動物園には人間用ミストも設置していますよ~
涼しいとこマップで確認して、途中途中で休みながら
ゆっくり動物園を楽しんでくださいね。
また、8月26日(土)のイベント「突撃!ときわのサルごはん」では
動物の暑さ対策についてのお話がありますよ!
気になる方はぜひ園内で~。
担当:田丸