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12月5日 名前のはなし 第2回
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12月5日 名前のはなし 第2回

(カテゴリ:獣医師の雑談) (投稿日:2015年12月05日)

こんにちは!獣医師です!!

このたび、飼育日記から独立して「獣医師の雑談」カテゴリを新しく作りました。

ただの目立ちたがりではありません。

目立つことで更新頻度を意識するようにする、いわば自分を追い詰める作戦です!

目標はさしあたり月イチで...。

 

さて今日は、以前(勝手に)シリーズ化した「名前のはなし」の2回目として

アジアゾーンから「輝かしい名前」の2種を紹介しますね。

(今回から、学名と英名には日本語での読み方を一応つけています。

でも、もちろん外来語を完全に日本の音にはできないので...

半分インチキと思ってくださいね。)

 

まずは、ときわ動物園最大勢力!と名高いボンネットモンキー

モヒカン

写真は、チョイ悪な風貌とは裏腹に実は心優しいナイスガイ、と噂のモヒカン氏。

 

ボンネットモンキーという日本名は、

英語の名前をそのままカタカナにして呼ばれています。

英語ではBonnet Macaque(ボンネット マカク)といいます。

ボンネット bonnetは、西洋の女性や子供がかぶる帽子のことです。

macaqueは、サルの中でも「マカク」と呼ばれる仲間のことを指します。

(彼らの特徴的な頭の毛から「ボンネットをかぶったサル」という名がついたこと、

皆さんもちろんご存知ですよね!?)

 

でもボンネットが帽子と言われてもピンとこないので

試しに「ボンネット」「帽子」で画像検索をかけてみると...

ゴスロリなかんじです。ボンネットモンキーに似てますか?

 

次に学名です。Macaca radiata(マカカ ラディアータ)と呼ばれています。

Macacaはさきほどのmacaqueと同じで、マカクザルの意味。

では、radiataの方は?

ためしにradiat... で英語の辞書を引いてみると、

「発散」とか「放射」という意味のradiationが引っかかります。

ボンネットモンキーズ

この学名、頭の毛が放射状に生えていることからついたのかな?

と思っていたのですが...あれ?

放射状

そうそう、放射状といえばトクモンキーですよね!

頭の中心から、まさに放射状にまるく毛が生えている彼らをさしおいて

放射状という名前はつけられないのでは?

トクモンキーズ

トクモンキーの皆さんも黙ってないよね?

 

おかしいね~と思いつつもう少し調べてみると、出てきました。

radiataの元になったと思われるラテン語radio には、

「光る」「輝く」という意味があるそうです。

radiator とか radiatus とか、

よく似た学名をもつ虫とか鳥もたくさんいるみたいです。

 

「放射」と「輝く」と

実際どちらの意味がボンネットモンキーの学名の由来なのかはわかりませんでしたが、

どうせなら「輝く」というちょっとイイカンジの意味の方を推したいわたしです!

 

 

 

そして今日の2種類目、ハヌマンラングール

こども

愛くるしい子どもたちも絶賛展示中です。

 

これも日本語は英語の音そのままです。

英語では、Hanuman Langur(ハヌマン ラングール)

あるいはGray Langur(グレイ ラングール)などと呼ばれます。

「ハヌマン」"Hanuman"はインドの伝説に残るサルの姿をした神様の名前です。

(これもときわ動物園通なら常識ですよね!?)

langur は、インド・スリランカ地方に分布する仲間のサルを指します。

腕と脚が長い、ちょっとやせた印象のサルたちです。

それからgrayは灰色という意味。

見てわかるとおり、全身灰色の毛で覆われていますね。

 

そして学名はSemnopithecus entellus(セムノピテクス エンテルス)

非常に長くて間違えそうな名前ですが、

ここからがハヌマンラングールの快進撃(個人的感想)です!

 

semnoは「畏敬すべき」「恐るべき」、pithecusはサルの意味。

...そろそろ、「サル」を指す言葉がたくさん出すぎて混乱してしまいますが、

アウストラロピテクスとかピテカントロプスとかって聞いたことがないですか?

化石で見つかっている、猿人や原人の仲間。今の人類の祖先です。

これらの「ピテクス」「ピテカ」の部分も同じ意味だと思ったら、

少し覚えやすいかもしれません。

そして最後のentellusは、「完全な」「欠点のない」という意味。

 

これらの意味を合わせると、ハヌマンラングールは

神様「ハヌマン」に遣わされた、完全無欠の畏敬すべきサル。

なんとまあベタ褒めです!

おとな

事実、上記の伝説から、生息地インドでは神聖な動物とされているハヌマンラングール。

そのすらりと伸びた手足と尾、力強いジャンプや、豪快ながらも気品ある座り姿は

現代日本でも人々(※主に担当飼育員)を魅了してやまないのです。

 

担当:田丸

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