7月27日 サルのお見合い?
(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2015年07月27日)
「お見合い」というと、みなさんはどんな場面を思い浮かべるでしょうか?
辞書を開いてみると、「面識のない男女が結婚を前提とした交際のために人を介して面会すること」などと書いてあります。
これを動物にあてはめると、オスとメスを出会わせること、と言いかえられます。
間違いではないのですが、動物園の動物たちのお見合いはすこし違います。
もちろんオスとメスの場合もあるのですが、オス同士だったりメス同士だったり、はたまた複数対1頭、なんてことも。
夫婦になるために、というよりも一緒にくらす仲間になれるかどうかの相性を見るために行っています。
現在、実際に進行中のお見合いをご紹介します。
Facebookでもお伝えしていますが、ハヌマンラングールのタラ(♀・1才)がリンダ(♀・タラの母)、ソフィー(♀・リンダの姉)とのお見合いをはじめました。
以前よりお話していたように、タラは人工哺育で育ち、これからおとなたちと暮らす練習中です。
でも実は、アジアの森林ゾーンオープン以前、ハヌマンラングールを繁殖棟で飼育していた時からお見合いは行っていたんです。
この時はお母さんのリンダがタラを見て大興奮で、タラが怯えているような状態でした。
今は、ネットで仕切られた展示場の一角に出て、おとなたちを見慣れて、さらにコミュニケーションがとれるようになることを目標にしています。
まだお互いに触れ合うことはありませんが、今のところケンカをしたりする様子はなく、ほっとしています。
そして、もうひと組。
ハヌマンラングールのタラと今月7日生まれの赤ちゃん(♀)のお見合いです。
タラはおとなとのお見合いと並行して赤ちゃんともお見合いをしています。
もともとはおとなとの同居を目指していたのですが、今回赤ちゃんが生まれてすこし計画を変更しました。
おとな・赤ちゃん両方とお見合い→赤ちゃんが大きくなったら同居→おとな、赤ちゃん、タラ4頭で同居!という流れを目指しています。
そして、赤ちゃんにとってはこのお見合いにとても大切な意味があるんです。
人工哺育で育った動物は、人に馴れるかわりに 自分のことを人だと勘違いしてしまうことがあります。
また、動物の社会のルールを知らずに育つので、他の動物たちとのコミュニケーションのとり方がわからず仲間に入ることが難しくなってしまうんです。
大きくなった時にひとりぼっちで生活させることになってしまわないように、今から練習を積む作戦です。
は~~びっくりした!
お見合い後は決まってこんな必死の形相ですが、だんだんタラの方をじっと見るようになってきました。
動物の動物らしいくらしのために、人工哺育の赤ちゃんのお見合いは重要なんです。
赤ちゃんはまだまだ小さく体温調整も難しいので飼育員が抱いた状態で短い時間のお見合いですが、お見合い中の赤ちゃんに出会ったらやさしく見守ってくださいね!
ときわ動物園では今、そしてこれから、いろいろなところでいろいろな動物のお見合いが行われていきます。
グランドオープンに向けて、今まで別々に暮らしていた同じ種類のサルたちでひとつの群れをつくる、他の動物園から新しくやってきた動物をもともとある群れに入れる、などなど。
もちろん、人間でもそうであるように、どうしてもソリが合わない、相性が悪いということもありますので、お見合いが失敗に終わることもあります。
お見合いは、動物たちの反応をよーーーく観察して、タイミングをみて、すこしずつ動物を近づけていく、とても繊細な作業です。
一歩間違えると大けがにつながってしまうので、飼育員はかなりどきどきしながら行います。
グランドオープン時、動物たちが仲良く暮らせていたら、「相性がよかったんだね!」と微笑ましく見ていただく頭の片隅に奮闘する飼育員のことも思い出していただけたらうれしいです。
担当:かわで