4月28日 マユゲと私
(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2023年04月28日)
みなさんこんにちは!
気付けばもうすぐ5月ですね。学校やお仕事など、新生活にも慣れてきたころでしょうか?
私はこの4月から担当動物が変わり、2ヶ月限定で山口宇部ゾーンとミーアキャットを担当しています。
一通りの作業に慣れましたが、まだまだうまくいかないこともあります。
今日はそんな「マユゲと私」のお話。私の眉毛ではありません。
「マユゲ」とは、当園のタヌキ。
ちなみに、一般的なタヌキと比べると全体に白っぽいのは、父親が白変種(突然変異で色素が減少し毛や皮膚等が白い個体のこと。生まれつきメラニンを作る遺伝子を持たないアルビノとは異なります)であるためです。
2013年5月17日生まれでもうすぐ10歳になるマユゲはタヌキとしてはかなり高齢。
白内障を患っていて、日に2回目薬をさすというルーティンがあります。
放飼場のネット際で大好物の鶏頭を手渡しであげながら、飼育員が目薬をぽたり。
前担当者の様子を見ているととっても簡単そう!
...の、はずだったのですが...
初日、二日目、三日目...
目薬どころか、マユゲはこちらにやってきてもくれません。
これまで他の飼育員に対してそんな人見知りをしたことはなく、むしろひとなつっこい個体と聞いていました。
もしかして体調が悪いのでは?と心配しつつ、目薬をさせないままでは困るので代番の飼育員にお願いすると、文字通りしっぽを振って駆け寄ったではありませんか...!
むしゃむしゃと鶏頭を食べ、目薬もばっちり。その姿はうれしそうにすら見えます。。
その時の写真ではありませんが、まさにこんな愛らしさでした
えぇ...ジェラシー...!
それからの私はマユゲに認めてもらうべく試行錯誤。
そばを通りかかる度にそっとおやつをお供えしたり、驚かせないようにゆっくりした動作を心掛けたり、においを覚えてもらうように毎回同じ手袋を使ったり。
何がよかったのか、はたまた関係ないのかはわかりませんが、一週間ほど経つとネットごしに手渡しでエサを食べ、目薬をさすことを許してくれるようになりました。
目薬中は両手がふさがっているので写真がありませんが、こんなに近くに来てくれるようになりました!やったー!
しかし、心を許してくれたわけではなかったようで...
夕方の目薬の後に、残りのエサを放飼場に置くのですが、マユゲは私が放飼場から出るまで決してエサを食べないのです。
他の飼育員曰く「エサを持っていくと足にまとわりついてくる」はずなのですが...
マユゲ(勝手に心の声):「早く出てって...」
マユゲ(勝手に心の声):「え、いつまで見てんの...?」
まだまだ時間がかかりそうです。。
動物園の動物たちは飼育されてはいますが、イヌやネコのようなペットとは違い、人にべったり懐くことはありませんし、私たちもそれを望んではいません。
とはいえ、毎日一番近くにやってくる担当飼育員を激しく警戒したり怯えたりしている状態では、安心して生活することができませんよね。それに、食欲の変化を察知したり、食べ方から口の中に異常がないか見ることができるので、食べているところを観察するのは飼育管理にとって大切なこと。
できればそばで観察させてもらいたい...
私は5月末までの期間限定の担当者なのですが、マユゲや他の動物たちが健康に、心穏やかに過ごせるように、そっと見守っていきたいです。
目薬に奮闘する飼育員を見かけたら、そっと見守ってください...!
担当:かわで