7月31日 エリマキキツネザルの赤ちゃんが生まれました!
(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2022年07月31日)
みなさんこんにちは!
7月18日にエリマキキツネザルの赤ちゃんが生まれました!
お母さんのユッキーにとってははじめての出産と子育て。
今回は、生まれる前からの様子をご紹介します。
ユッキーの妊娠がわかったのは、5月におこなった健康診断のとき。
当時は妊娠しているとは思っておらず、エコー検査で赤ちゃんの姿を確認しました。
エリマキキツネザルの妊娠期間は3ヶ月と短く、これまでの様子から7月中に出産すると予想。
どんどん体重が増えていくのも確認し、出産に向けて準備をしていきました。
出産前はいらいらしていたのか、まわりのエリマキたちにオラついていたユッキー
エリマキキツネザルは、霊長類には珍しく子育てのための巣をつくります。
野生では天敵から身を守るために木の上に巣をつくるそうですが、動物園ではもし子が巣から落ちてもケガをしないように、低い場所に巣箱となるケージを設置しました。
日に日にふっくらしてくるお腹を見ては出産の日を待ち望み...
上から見るとこんなにおなかが太く見えます(7月4日のユッキー)
ついに2頭の赤ちゃんが生まれました!
しかし、発見した時、赤ちゃんは巣箱ではなく寝室の床にべたっとうつ伏せになっていて、低体温の状態だったのですぐに獣医師に連絡して保温をしてもらいました。
幸い状態はそう悪くなく、すぐに回復したので、そっと巣箱に赤ちゃんを戻して見守ります。
奥を「くろ」、手前を「しろ」と仮の名前をつけました
しかし、ユッキーはなかなか巣箱に近づきません。
そこで赤ちゃんをユッキーのそばに差し出してみると、すごい勢いでにおいを嗅いだ後、やさしくぺろぺろと舐めはじめました。
興味を示す姿が確認できたので、赤ちゃんをそっと巣箱に戻すと...
今度はすぐに巣箱に入り、赤ちゃんたちのにおいを嗅いだり舐めたり。
ぎこちないユッキーにはらはらしていましたが、熱心に赤ちゃんのケアをする姿に一安心。そっと見守ることにしました。
しかし、赤ちゃんたちが生まれて2日後の朝、そのうちの1頭が亡くなりました。
亡くなったのは「しろ」で、生まれた時から「くろ」よりも小さい個体でした。
解剖の結果、母乳が十分に飲めていなかったようです。
赤ちゃんたちの体重の減少は確認していましたが、多くの動物では生理的体重減少といって母乳を飲んでいても生後2~3日は体重が減ることが知られています。前日の夕方まで2頭とも元気でつかまる力にも問題がなかったので、お母さんに任せて手出ししないことを選択しましたが、少し判断が早ければ助けられたかもと思うと本当に悔やまれます。
とても残念な結果になってしまいましたが、今回の反省を今後の繁殖に生かしていきます。
もう1頭の赤ちゃんはその日から体重が増えはじめ、今日まですくすく育っています。
生まれた時は87gだった体重も、生後5日目には100gに!現在は150gを超えました。
赤ちゃんの体重測定は、ユッキーが巣を離れた隙におこなっています
エリマキキツネザルの赤ちゃんは、ふつうは生後しばらくの間ずっと巣にいて、1か月ほどで自力で巣から出てくるようになります。だからご覧いただけるのはまだ先...と思っていたのですが、ユッキーの子育てはちょっと個性的なのか、赤ちゃんをあちこちに連れだしては木のしげみなどに置いています。
今のところ、お客さまの目に触れるところに連れていっていることはありませんが、もしかしたらひょっこり姿を見せてくれる日も近いかもしれません。
亡くなってしまった子のぶんも元気に成長していってくれるよう、新米お母さん・ユッキーの子育てをサポートしていきたいと思います。
赤ちゃんの成長やユッキーの子育てについて、今後もブログなどでご紹介していきますね!
担当:かわで