1月23日 分析までの道のり ~エリマキキツネザルの栄養研究(2)~
(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2022年01月23日)
みなさんこんにちは!
エリマキキツネザルのごはんとうんちに関する研究を紹介するブログその2です。
(※動物のうんちの写真が出てきます)
さて、冷凍して大学に送られたうんちはどうなるのでしょう。
うんちの送り先である東京農業大学の動物栄養学研究室では、家畜を中心とした様々な動物を対象に、栄養素や消化、吸収、代謝について幅広い分野の研究がおこなわれています。
中でも共同研究者の林田先生は、ヤギや生け捕りにしたシカの栄養改善などを主な研究テーマとされています。今回の研究でおこなう消化試験は、家畜で確立された手法を林田先生がアレンジしてくださいました。
消化試験では、動物の食べ物と、それを食べて出てくるうんちの成分分析が必要です。ヤギやシカのような草食動物の場合、通風乾燥という方法で乾燥させ、粉末にして分析します。
当初、果物やエリマキキツネザルのうんちも同じように通風乾燥してみたところ...
べたっとこびりついています...
エリマキキツネザルのうんちにはあまり消化されていない果物などが含まれているため、糖分が多く、乾燥させると飴状にかたまってしまったのだそう。草食動物のうんちではこんなことは起きないので、先生たちもびっくり。
これでは分析ができません...
そこで考えたのが
①細かくすりつぶす作戦!
しかし、果物の皮や繊維などが手ごわい&恐ろしく時間がかかり、失敗...
手作業ですりつぶせないなら
②ミルサーで粉砕作戦!
それでもカスが残ってしまい、失敗...
乾燥して粉砕できないなら、粉砕してから乾燥すれば...?ということで
③うんちアイスをクラッシュして通風乾燥作戦!
写真はクラッシュ中。中身はうんちです。
こうしてクラッシュされたうんちを容器に移して...
この状態で通風乾燥させます。
かわいらしいシリコン容器、本来はお菓子作りのためのもの。でも中身はうんちです。
できあがり!これまでで一番いい出来の乾燥うんちです!
試行錯誤の末、ついに成分分析ができるうんちのサンプルが完成しました。
研究成果として発表されるものではありませんが、研究の裏にはこんな創意工夫と地道な作業があることを少しでも知っていただけたらという思いでうんちの写真をばんばん載せさせていただきました。
(読んでくださっている方がいるかちょっと心配)
こうして準備が整い、現在分析をしていただいています。
少しずつではありますが、エリマキキツネザルの栄養状態をより良くするための研究が着実に進んでいます。
ふだん動物園を訪れるだけではわからない研究ですが、今後の展開をたのしみに見守っていただけるとうれしいです。
担当:かわで