10月31日 世界キツネザルの日 おしえて!島先生【番外編①】
(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2021年10月31日)
しましましっぽが愛らしいワオキツネザルを知っている方は多いと思いますが、かれらが絶滅の危機に瀕していることを知っている方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?
当園でも飼育するワオキツネザルやエリマキキツネザルを含むキツネザルの仲間は、マダガスカル島だけに生息する原始的なサル。
全部で約100種もいるのですが、実はその98%が絶滅の危機にあります。
そして、その原因には私たち人間の生活が大きく関わっているんです。
たくさんの方にキツネザルのことを知ってもらい保全につなげるために、世界自然保護連合が定めたのが「世界キツネザルの日」。
毎年10月の最終金曜日に、世界中の動物園や保全団体などが様々なイベントを通してキツネザルのことを伝えています。
当園の今年の目玉イベントが「おしえて!島先生」。
長年マダガスカルでキツネザルや自然環境の保全活動をされている 島泰三先生(日本・アイアイファンド)にご協力いただいて、特別動画をつくりました。
SNSで募集した島先生への質問にお答えいただくというものです。
動画は全部で3本。当園の公式YouTubeをチェックしてくださいね!
質問やメッセージをくださった皆さん、ありがとうございました!
しかし、たくさんの質問をお寄せいただいたため、時間の都合上 島先生にお答えいただけなかったものもあります。
前置きが長くなりましたが、今回のブログでは、動画でお答えできなかった質問に飼育員がお返事を書きます!
島先生じゃなくてごめんなさい...!
Q1.キツネザルは視力がいいですか?夜行性と昼行性で目に違いはありますか?
A1.
どのくらいの視力があるかというのは...ごめんなさい、わかりません。
ふだんの生活では、目で見た情報だけでなく、音やにおいなど様々な感覚を使って体が反応しているので、なかなかはっきり言うことができないんです。視力はわかりませんが、色覚については研究からある程度わかっています。たとえばワオキツネザルは、2色型といって、色を感じる信号を作り出す神経のもとになる錐体細胞の種類がヒトよりも一つ少ない(ヒトは3色型が多い)ことがわかっていて、私たちとは違う色の見え方をしていると考えられています。実際にどんなふうに見えているかは1頭1頭ちがうので、なんともいえないんですけどね。
ちなみにキツネザルは、つんと突き出た鼻からも推測できるように、嗅覚がとても優れているといわれています。
そして一般的に、夜行性と昼行性の目の大きな違いに「タペタム」があるかどうかというものがあります。タペタムは、目の中にある光を反射する装置で、夜にネコの目がきらっと光ったりするアレのこと。夜行性の動物の目にはタペタムがあって、より多くの光を吸収することで暗いところでもよく見えるようになっているんです。
しかし、キツネザルの場合は、このタペタムが夜行性の種だけでなく昼行性のワオキツネザルにもあったり、昼も夜も活動するエリマキキツネザルにはなかったり... ということで、これもよくわかっていないんです。
Q2.マダガスカル産のサルで、新しく日本の動物園で展示できそうなものはありますか?
A2.
ほとんどの種が絶滅の危機にあること、食べ物や行動特性などの点で飼育が難しい種が多いこと、検疫などの問題で海外から霊長類を輸入するハードルが高いことなどから、新しい種を展示することはとても難しいと思います。
現在飼育している種・個体を大切に飼育し、野生の姿を知っていただけるような展示ができるよう頑張ります!
動物園で飼育していない種についても皆さんに知っていただく機会をつくっていきたいと思います。
Q3.全力疾走するお母さんにしがみつく赤ちゃんの握力はどのくらいですか?
A3.
これですね!
ワオキツネザルは生まれてすぐにお母さんのおなかにぎゅっとつかまり、お母さんが走っても跳んでもしっかりとしがみついています。
当園で生まれたこどもたちは、成長するにつれてつかまる位置が背中に移動し、生後3週間にもなるとお母さんから離れてひとりで歩くようになりました。
ヒトの赤ちゃんなら考えられないたくましさです。...でも握力はわかりません!ごめんなさい...
Q4.野生のワオキツネザルが一日食べる内容と量を教えてください
A4.
食べ物は生息地や季節によっても変わりますが、木の実や木の葉っぱ、草、昆虫、小さな爬虫類(カメレオンを捕まえて食べる様子が観察されたことも!)など。量は...ごめんなさい、わかりません。
お詫びといってはなんですが、当園のワオキツネザルたちの食べ物はこちら。
バナナ、リンゴ、ニンジン、キャベツ、(写真に写っていませんが)繊維質の多い配合飼料です。
たくさん食べる春~夏は全部で400gくらい(1頭1日分)ですが、代謝を下げてあまり食べなくなる秋~冬は200gくらいしか食べません。
また、夏は水分の多いキュウリなども多く与えています。
まだまだご質問をいただいていますが、今日のところはここでおしまいです。
わからないことばかりだけど大丈夫かな...
つづきは番外編②で~!
担当:かわで