5月23日 もっしゃもっしゃ
(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2015年05月23日)
ときわ動物園の飼育員たちは、ぞれぞれが数種類の担当動物をうけもっています。
重要なことはみんなで話し合いますが、動物舎の清掃、エサの内容の決定、展示場の整備など基本的なことは各担当者の仕事です。
わたしの担当動物は、アジアの森林ゾーンのハヌマンラングール、シシオザル、トクモンキーの3種。
もちろん各種各個体に愛情を注いでいますが、わたしがその中でも特に好きなのがハヌマンラングール。
(...断じて差別はしていませんよ!!!みんな大好きです!)
どうですか~?とってもきれい!ですよね!
美しい灰色の毛並み、すらっと長い手足、さらに長~いしっぽ。
気の強そうな顔さえ(本当はとても臆病で神経質な性格。たまにお客様に威嚇の表情を見せるのも、強がりなので許してあげてくださいね!)愛らしくみえてきます。
美しい姿もあってか、生息地のインドでは神話に登場する神様のモデルになったともいわれています。
ぱっと見も、じっくり見てもとても絵になるハヌマンラングールですが、わたしがこの種が大好きなのにはまだまだ理由があるんです。
ハヌマンラングールはサルの中でも珍しく木の葉が大好きな種類なんです!
え?ボンネットモンキーもシロテテナガザルも木の葉は食べる?
そうですね、食べます。
でも、食べる量が全然ちがうんです。
ハヌマンラングールは木の葉を主食とする「リーフイーター(reaf eater:葉食いザル)」のなかま(ほかにはコロブスやルトンなど...わからない人は検索!)で、野生での食べ物の7~8割が木の葉だという資料もあります。
(動物園では大量の木の葉を毎日与えるのは難しいので、他のサルたちと同じように野菜も与えています)
食べ物がちがうことで体のつくりも少し変わっていて...という話は長くなるのでまた今度。
木の葉大好きな彼女たち(ときわ動物園のハヌマンラングールはすべて♀)、その食べ方が実に魅力的。
もっしゃもっしゃ食べるんです。
もっしゃもっしゃもっしゃもっしゃもっしゃもっしゃもっしゃもっしゃ...
もともと草食獣大好きなわたしにはたまらない咀嚼音。
先日1才の誕生日をむかえたタラ(♀)も もっしゃもっしゃに目覚めたようです。
展示場内の樹木の葉も大好物でもっしゃもっしゃ食べるので、葉がなくなってしまった木もちらほら。
そこで、毎日枝ごと木の葉をエサとして与えています。
動物園では大量の木の葉を毎日与えるのは難しいので、他のサルたちと同じように野菜も与えています)
1週間のうちに、こんなふうに枝でいっぱいのポリバケツ4杯分をもっしゃもっしゃ食べているんです。
シラカシ、クヌギ、スダジイ、イヌビワ、アカメガシワ、ヤマモモ、ヤブツバキ、クロキ、ヒサカキ、カナメモチ、ネズミモチ、タブノキ、クスノキ...などなど。
1頭1頭好みが違っていたり、季節によって好む樹種が変わるのもとても興味深いです。
そして、リーフイーターにはやっぱり緑が似合う!映える!すてき!
彼女たちのためにも、もっしゃもっしゃできる木をこまめに植え替えてあげたいものです!
(...実際にはなかなかできていませんが...頑張ります!)
健康管理や清掃、ガイドなど、大忙しの日もありますが、動物たちの食餌風景をながめるのがわたしの至福のひとときです。
もちろんハヌマンラングールの魅力はまだまだまだまだあります!
ダイナミックな跳躍、しっぽの動き、個体間のつながり、凛々しい顔に似合わず短くてかわいらしい親指...
担当動物の話になると、ついつい長くなってしまいます。
もちろん他の2種も!
アジアの森林ゾーンは霊長類が多く、「サルばっかり~」と言われることも多いですが、種によって見た目はもちろん行動も表情もいろいろ。
「魅力的なサルばかり!」ですので、じっくり観察して、動物たちの個性を見つけてみてください。
きっと愛おしくてたまらなくなる瞬間がやってきますよ~!
担当:かわで