2月21日 甘くなくてもばなな?
(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2017年02月21日)
ときわ動物園のトクモンキーたちは、野生のサルたちの食べものに合わせて ふだん果物をまったく食べずに野菜中心の食生活をおくっています。
でも、先日バナナをあげちゃいました。
...え??いいの?
いいんです!
こんなバナナだったから!
まだ青い!
(※完熟したバナナでも、サルの健康に即悪影響があるわけではありません。栽培品種のバナナのように糖分が高いものを与える必要はないのではないかという考えからバナナを与えていない種もいるというお話です)
実はこれ、現在リニューアル工事中の植物館・ときわミュージアム(今年4月29日にリニューアルオープン!)で栽培・収穫された、正真正銘ときわ産バナナ。
わたしたちがふだんスーパーで目にする種類とはちょっとちがいますが、栽培品種のものです。
バナナはふつう、このように青い状態で収穫され、人の手で熟成させることで黄色く甘くおいしくなります。
しかし、この青いバナナは熟成前。
硬くて渋くて、とても人が食べられるものではありません。
わたしもチャレンジしましたが、少しかじって後悔しました...
おいしくないからサルにあげちゃえ!
というわけで...
は、もちろんありませんよ!
栽培品種の未熟なものなので繊維質などはちがうかもしれませんが、糖分が圧倒的に少なくおいしくないバナナ、野生で食べて果物に近いのでは!?というわけで、あげてみることに。
まずはお試しで、ときわ動物園のすべてのサルにあげてみました。
すると、食べたり食べなかったり...
...全体的に「不評」...
ボンネットモンキーやシロテテナガザルにはすぐにぽいっと捨てられてしまったとか...
しかし、ちょっとおもしろいことに、ハヌマンラングール、シシオザル、トクモンキーの3種は、実も皮もすべて奪い合うように食べたんです!
ハヌマンラングールのサト(♀1才)はかなりお気に入りのようで、がしがし食べていました。
お子様にもわかる味らしいです。
実も皮も残さず完食したこの3種は、エサの見直しをしてふだんはほとんど果物を食べていない(シシオザルのみ少量食べています)サルたち。
黄色いバナナをエサとして与えているパタスモンキーやフサオマキザルも食べたということなので一概には言えませんが、ふだんのエサの影響もあるのかもしれません。
おもしろーい!
と、おもしろがっていると、またまたときわミュージアムからバナナをいただきました!
今度は赤い色のフランバナナも。
わたしたちが食べているいわゆる「バナナ」も並べてみました。
全然色がちがいますね!青いバナナたち、見るからにおいしくなさそう...
せっかく立派な房でいただいたので、このままプレゼントしたい!
ということで、反応のよかったトクモンキーの展示場に房ごと吊るし、いざ!
お客様の多い土日だったので、たくさんの方にトクモンキーがバナナをもぎとったりそのままかじりついたりする姿を見ていただけたのではないかと思います。
こんなことはできちゃうのは、たくさんの植物を大切に管理している(農薬ゼロなので動物たちのからだにも安心♡)ときわミュージアムさんのおかげ。ありがとうございます!
これからも色々コラボできたらいいな!
ちなみに、最近の研究でサルとヒトの味覚はまったくちがうということがわかってきています。
ヒトがあまり感じないようなわずかな甘みでもしっかり甘いと感じるのだそう(研究対象はニホンザル)。
確かに、サルたちがおいしそうにバリバリ食べる葉っぱをわたしが食べてみても、どれも苦くてまずい...
ということは、わたしたちがおいしいと感じるバナナやリンゴって、サルたちにはどれだけ甘いのでしょう。
分類上ヒトに近い=からだのつくりなどもヒトとあまり変わらない、というイメージがありましたが、調べてみないとわからないことってたくさんあるんですね!とってもおもしろい!
とはいえ、ときわ動物園のサルたちもほとんどみんな、甘いものが大好きです。
もしかしたら、本来は甘すぎるものでも、毎日食べているうちに感覚がマヒしてしまったりもするのかも?
動物たちにとって「良い」食べものって、一体何なんでしょう?
同じ種のサルでも個体によって好き嫌いがあったり、エサの置き方によってなにから食べるかが少し変わったり、「食べる」という行動ってとってもおもしろいなーと日々サルたちを見ていて思います。
しかし、ついついヒト基準で「動物っておもしろいね」なんて言ってしまいますが、世界中に400種以上いる霊長目のなかまの中では、ヒトこそが超少数派の異常な甘党、変わった動物なのかもしれませんね。
おもしろーい!
担当:かわで