12月20日 シシオザル、年末年始もどたばた!
(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2016年12月20日)
もう来週で2016年も終わり...
あっという間の申年でした!
クリスマスや年末年始くらいゆっくりしたい気も...しなくもないですが、わたしが飼育を担当するシシオザルは、どたばたな年末をむかえています。
今年のシシオザルの一大ニュースは、なんといってもミヤ(♀)の誕生。
三度目の出産にして、はじめてこどもがしっかり育ち、おてんばなヒロもりっぱなお母さんになりました。
お父さんのレタスもミヤと遊んだり、ヒロに毛づくろいをしたり、とってもほっこりする時間が流れています。
しかし、そんな3頭の時間はそろそろおしまい。
シシオザル一家、解散の時が近づいています。
お母さんのヒロは福岡市動物園から、お父さんのレタスは 今は1頭でくらす弟のガッツと一緒に静岡県の日本平動物園から、ときわ動物園にやってきました。
2頭とも、ときわ動物園での繁殖をめざしての来園でした。
そしてめでたくミヤが誕生。
どんどん凛々しいシシオザルになってきました!
レタスも、はじめての子育てに奮闘するヒロにかいがいしく毛づくろいをして支えてくれていました。
そんな仲良しな2頭なので、このまま一緒にくらしていれば、ミヤの弟か妹ができるのも時間の問題かなと思います。
しかし、実はレタスとガッツの両親もこれまたとっても相性のいいペアなのでしょう、他にも兄弟姉妹がたくさんいます。そしてミヤのいとこにあたる個体も生まれています。
家族が増えるのはとてもめでたくうれしいことですが、動物園では気を抜くとちょっと困ったことにもなりかねません。多くの野生動物は、動物園で用意できる環境よりもとても広い範囲を動きまわって生活しています。
もちろんシシオザルも。
群れをつくってくらす動物ですが、ずっと決まったサルにしか出会わないわけではなく、群れ同士が出会うこともあれば、群れを出たり入ったりするサルもいます。だから、繁殖相手が1頭だけ、ということはほとんどなく、さまざまなオスとメスが出会って赤ちゃんをつくります。
でも、動物園では、人が繁殖相手を決めて動物を移動させなければ、同じ相手としか出会うことができません。
同じ相手としか出会えず、同じ血統の赤ちゃんばかり生まれていくと...未来に残せる遺伝子がとても偏ってしまいます。
シシオザルなどの中型のサルたちは、繁殖そのものが難しいわけではないので、相性が悪くなければどんどん赤ちゃんが生まれます。
そして、さきほどの、レタスの血縁いっぱい問題。
そうしたことを考えると、ヒロの次の出産は、お相手はレタスでなくてもいいかも...?
...ということに。
また、レタスの弟であるガッツは、ずっとレタスと一緒にくらしていましたが、ヒロというメスの出現でレタスから攻撃されるようになってしまったため(ふだんは穏やかなレタスも、食べ物とメスが絡むとちょっぴりコワイのです...)、かれこれ2年ほど1頭だけでくらしています。
本来群れの仲間たちと一緒にくらす動物が1頭だけですごす不安やストレスはどんなに大きいものかわかりません。
人工哺育で育ち、ちょっぴりクセのあるガッツも、もともと一緒にいたレタスとならまたうまくやっていけるんじゃ?
...ということに。
それらを総合して考えて、ときわ動物園ではシシオザルのグループを再編成することにしました。
レタスと離れ離れになるヒロの新しいお相手は現在募集中です。
シシオザルは野生では30頭ほどの大きな群れをつくる動物。
ほんとうはもっとたくさんのシシオザルが群れをつくれるようにしたーい!!シシオザルの群れが見たーい!!!
飼育員も熱望してはいますが、スペースの問題などで、ときわ動物園では飼育できる頭数が限られています。
全国の動物園と協力して、遺伝子の多様性を守りつつ、すべてのシシオザルがしあわせにくらせるよう努めていきたいと思います。
さて、ここからが本題。
レタスとガッツの同居訓練についてお話していきます!
①レタス・ヒロ・ミヤ
②ガッツ
という2グループから、
①レタス・ガッツ
②ヒロ・ミヤ
という2グループへの再編成をすることになりました。
レタスとガッツは兄弟で もとは一緒にくらしていましたが、ヒロが現れレタスはお父さんになりました。
ずいぶん状況が変わったので、すぐに元通り仲良く!というわけにはいきません。
扉越しでお互いの姿は見えない状態でも、においなどでわかるようで、威嚇をしたり興奮したりすることもありました。
兄弟というより、オス同士になってしまったんですね。
そこで、まずはお見合いをして、お互いをよく確認してから同居してもらうことにしました。
ガッツと、レタスたちの部屋は2枚の扉で仕切られています。
1枚は何も見えない丈夫な板、
もう1枚はこんなふうに金網になっています(写真はトクモンキーの部屋)。
板の扉を開けた状態にして、この金網の扉にさらに細かい網をつけたお見合い用の扉でお見合いをはじめました。
細かい網があれば、もしケンカになってもケガをする心配はありません。
はじめは興奮して激しく威嚇しあっていましたが、徐々にお互いを気にかけないようになってきました。
少しずつお見合いの時間をのばしていって...
2頭が落ち着いてきたのを確認して、
休園日の今日、はじめてガッツとレタスを放飼場で出会わせました。
取っ組み合ったり、咬み合ったりもしましたが、初日にしてはなかなかいい調子。
今日は基本的に距離をとってすごし、時々近づいていってケンカをしてみる、といった様子。
THE ケンカ。顔が見えているほうがガッツです。
ガッツは少しだけケガをして血も出てしまいましたが、幸いキズは小さく、大したことはありません。
しばらくは飼育員が様子を観察しながら同居訓練を行っていきます。
ご来園の際に2頭を見かけたら、そっと見守って応援してあげてくださいね!
レタス、ヒロ、ミヤの3頭の親子が見られるのもあと少し!...かも!
(同居訓練の進行状況によってお知らせなく展示個体を変更することがあります。)
担当:かわで