4月2日 見えるところも見えないところも
(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2016年04月02日)
みなさん、昨日の飼育員ブログは読まれましたか?
ハヌマンラングール担当としては聞き捨てならない衝撃の事実が書かれていたんです。
お客様にご協力いただいたアンケート結果の話題だったのですが、
展示のインパクト(つまりは人気投票!)、ハヌマンラングールがまさかの最下位...
そんなはずはない、と何度もしつこく確認しましたが、どうやら本当に最下位...
でも10代のお客様に人気という意外な事実も!
10代のお客様は、これから20代になり30代になり40代になり50代になり60代になるわけですからね!
きっとお子さんお孫さんにもハヌマン人気は受け継がれ...
数十年後にはダントツの人気動物になるということですね!
ハヌマンラングールの魅力をお伝えしきれていない悔しさをバネに、より一層頑張ろうと誓う担当者でした!
さてさて、
強引にハヌマンの話題にしたところで、今日は彼らのお部屋をのぞいてみましょう!
アジアの森林ゾーンのハヌマンラングール室内展示。
ここは、人工哺育で育つ2頭のこどもたちの部屋です。
実はここ、最近模様替えしてるんですよ~
以前はなかなか殺風景だったのですが...
妹のサトの体がしっかりしてきて運動量がどんどん増え、姉のタラとじゃれる時間もぐっと多くなりました。
たくさん食べてたくさん遊んでたくさんケンカをしてすくすく育ってほしいので、
葉っぱ増量!
とまり木増量!
ロープを張り巡らせて!
ハンモックも!
タラが乗って遊んでいるのは、飼育員お手製の消防ホースハンモック。
「なんで消防ホース?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、消防ホースは動物園の世界では超有名&超優秀なものなんです。
強度ばつぐん!サルが乗ったりかじったりするくらいじゃ びくともしません!
使い古しをいただけちゃうのでお金もかかりません!
もともとはオランウータンを飼育している日本の動物園で、かれらの樹上生活を再現するために使われはじめた消防ホース。
開発によって森林が分断されたことで行動範囲がせまくなり孤立してしまうという、マレーシアの野生オランウータンの問題にも、この日本の動物園の取り組みが注目されて消防ホースで作った吊り橋が活用されるなど、グローバルに活躍する素材なんですよ!
最近では全国の動物園で 大型類人猿をはじめいろいろな動物の展示場や寝室内で見かけるようになりました。
野生動物のしあわせにも、動物園動物のしあわせにも大活躍の消防ホース、
ときわ動物園でも使わない手はありません!
そして実は、他のサルの部屋にも。
シシオザルの部屋の中には...またまたハンモック!
お母さんになったヒロも赤ちゃんと一緒にまったり。
安定感があって木やコンクリートより柔らかい消防ホースを気に入ってくれた様子です。
もう一つはこちら!
なにやら複雑に編まれたホースの間に見えるのは、ニンジン、サツマイモ、ペレット(固形飼料)。
ゆっくり時間をかけてエサを食べてもらうためのものです。
海外の野生動物保護団体の写真にこれと同じ物を見つけ、どうしても作りたくなっちゃいました。
少しきつめに作ったら、ガッツが夢中でかぶりついてくれて、大成功!
ゆらゆら揺れるものにしがみつくという、ふだんなかなかしない動きを引き出して、体を使ってもらう狙いも!
人間でも、日常生活で使うことのないインナーマッスルを鍛えて体を引き締めたり...しますよね!
かっこいいスタイルのシシオザルに育ちますように~!
消防ホースを使ってやりたいこと、作りたいもの、
まだまだたくさんあるので 今後にご期待ください!
そして、消防ホースだけではなく、こんなものも。
こちらはトクモンキーの部屋の中。
ブイの下側に小さな穴を開けて吊るし、サルたちが揺らすとエサが出てきます。
しくみは単純ですが、トクモンキーたちは実にアクロバティックな動きを見せてくれます。
ブログで動画をお届けできないのがくやしい!
野生に近い姿の動物たちをお見せして、野生動物とかれらのくらす自然環境について知っていただくのがときわ動物園ですが、動物園の動物たちには部屋の中で過ごす時間もたくさんあります。
見えるところも見えないところも、動物のくらしすべてを楽しいものにするのが飼育員のおしごと!
ブログではそんな裏側もどんどんご紹介していきますね!
担当:かわで