9月5日 傷病鳥獣保護レポート
(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2018年09月05日)
ときわ動物園の傷病鳥獣保護事業で、1番保護の依頼が多いのは、ツバメです。
私たちにとっては、もっとも身近な渡り鳥の一つでしょう。彼らは春から夏に日本に渡って、繁殖し、子育てをし、秋には日本から南の方へ渡っていきます。地域の気候に合わせて、渡りをして生活をしています。
そのため、春から初夏は、ツバメたちの繁殖・子育ての時期で、雛を見かける機会も増えてくるわけです。
そこで、起こりやすいのが誤認保護。
誤認保護とは、まだ完全に飛ぶことができない雛が巣から出て飛ぶ練習をしているなど、巣から離れている状態をみて、
「巣から落ちて、迷子になったのでは?親に見捨てられたの?」
・・っというような、誤った認識から保護してしまうケースのことを言います。
(飛ぶ練習中の雛には、親鳥がちゃんと巣の外でも、餌を運んだりして、雛をみています。もし、鳥の雛を見かけたら、近くに親鳥がいる可能性があるため、まずは見守ってあげてください)
何回か、このブログや春に実施したイベントで誤認保護の話を紹介したことがあります。
(イベントで話を聞いてくれた方々、ありがとうございました!)
今回は誤認保護ではありませんが、今年ときわ動物園に保護で持ち込まれた、ツバメたちを紹介します。
立つのがやっとな小さな雛。
この時期は成長のため、たくさんの餌を食べます。
餌は・・・
虫です。(虫が苦手な方、ごめんなさい。手に乗っているのがミルワームで、後ろにいるのはコオロギの子どもたちです。)
そのため、ツバメの雛を育てるには、餌となる虫たちも一緒に飼わなければなりません。
(いつも虫の世話をしてくださる方々、ありがとうございます。)
この餌を1〜2時間おきに朝から夕方まで与えます。雛以外にも保護されている傷病鳥獣はいるため、彼らの世話と
動物園動物の世話もしなければなりません。
バタバタしてしまうので、雛の世話は、担当飼育以外の飼育員にも協力を依頼します。
(あの時は、ありがとうございました)
その甲斐あって
雛たちはすくすく育ち、
飛べるのを確認してから、放鳥します。
元気で!
(分かりにくい写真ですが、真ん中の方にシルエットがみえるでしょうか・・・)
しかし、飛んでいくツバメをみて、
無事に育ち、野生に返せた嬉しさと、
体を大きくすることはできたけど、ツバメ同士のコミュニケーションなど、
本来親から教わることをツバメではない私は教えることができません。
あの個体たちはちゃんと生きていけるだろうか?
という心配の両方の気持ちが残ります。
やはり、野生動物は、野生で親に育てられ、親から学び、生きていくのが本来の姿なんだろうなと
放鳥するたびに、そう考えてしまいます。
もし野生動物の雛や幼獣をみかけても、すぐには手は出さず、そっと見守ってあげてください。
何とかしてあげたい、このままじゃあ心配・・・という方は相談してください。
一緒にその動物たちのために、どうやって対応していけばいいのか、考えましょう。
今回紹介したツバメたちは、救護者の方たちが、しばらく様子をみてくれたり、
電話相談をしてくれたため、誤認保護を防ぐことができ、
状況から判断して、保護することになった個体たちです。
ツバメの雛を連れてきたときに、誤認保護の話や傷ついた野生動物をみつけたときの対応の仕方
野生動物は野生でいきているという話をとても熱心に聞いてくださり、とても嬉しい気持ちになりました。
動物園をとおして、傷病鳥獣保護の普及活動は無駄じゃない!!
可能性があると改めて感じることができました。
これからも、彼ら傷病鳥獣(野生動物たち)をとおして、情報発信をしていきたいと思います。
傷病鳥獣保護担当の奮闘?は続きます!
傷病鳥獣保護 担当 坂口