9月3日 飼育員の考えごと(ハルとナツの1年をふりかえる)
(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2024年08月27日)
皆さん、こんにちは。
勝手にときわ動物園のブログで、シリーズ化を企んでいる坂口です。
はやいもので、もう9月。秋になってどんどん涼しくなっていくかなぁっと思っても、
まだまだ暑い日が続きそうですね。
8月が終わったことで、ときわ動物園に来て、ちょうど1年がたった動物がいます。
それがこちら
コブハクチョウの♂「ハル」と♀「ナツ」です。
ハルとナツは、去年の8月30日に福山市の蓮池公園からやってきました。
彼らが来てもう1年になるんだなっと思い、今回は彼らとの1年間を振り返ってみてみよう思います。
彼らとの1年間で一番印象深いのは、彼らがやってきた日です。
ハルとナツは、私がコブハクチョウの飼育担当になってから、新しく来たハクチョウ達で、受け入れ準備から輸送まで、関わることができた個体たちです。
動物の輸送は、専門の業者に依頼することが多いのですが、
ハルとナツは、ときわ動物園のメンバーで輸送することになり、福山まで迎えに行くことになりました。
山口県宇部市~広島県福山市の距離、何で移動するか、輸送箱はどんなものを使うか等々考えることがたくさんありました。
というのも長時間の移動は、動物に負担をかけることになるためリスクがあります。
また、輸送する日も夏だったため、暑さがとても心配でした。
動物を輸送する時は、移動中に動物が暴れないように、狭い輸送箱を使用します。広さがある輸送箱に収容して移動すると興奮した動物が箱内で暴れて、体をぶつけるなどのケガをしてしまう危険性があるからです。今回の輸送でも大きい輸送箱ではなく、コブハクチョウが1羽ギリギリ入れるくらいの大きさの輸送箱を使用しました。ただ、狭い輸送箱の箱内は気温が上がりやすいデメリットがあります。また輸送中は動物が興奮しやすく、体温が上がりやすくもなります。たたでさえ、高温な中での輸送。大丈夫だろうか・・・っと心配事がたくさんありました。
しかし、今回の輸送に関わるメンバーには、獣医師でもある園長とレジェンド飼育員がいたため、とても心強かったです。
準備の段階から、何回もメンバーと打ち合わせをし、2人から何を準備するか、
暑さ対策で冷やすために何が必要か、水分補給はどんな道具を使用すればよいか、たくさんのことを教わることができ、とても勉強になりました。
動物飼育は日々、勉強!っと再認識しました。
そして迎えた本番当日
(写真は、福山市の蓮池公園にいるコブハクチョウたちです)
ベテランの方々のおかげで、
福山での捕獲作業や
輸送箱への収容もスムーズに終わり、
輸送の道中も、とくに大きなトラブルもなく、無事に輸送することができました。
輸送後は、しばらく検疫期間として、ハクチョウ舎で過ごしてもらいました。
輸送直後、お留守番組の飼育担当者と獣医師で、健康診断もしてもらいました。
検疫期間中、特に大きな問題はなく、
無事にときわ湖へ放鳥できました。
放鳥のときは、まさかの宇部市長が放鳥しました。
(市長の白鳥の持ち方がとても上手だったので、びっくりしました・・・。)
こうして、無事にときわ動物園に来て、白鳥湖で過ごし、
冬は感染症対策のため、新しくできた新ハクチョウ舎の中でものんびりとすごしてくれてました。
そして、現在は白鳥湖の機関車側にいます。
この1年間とくに大きなトラブルもなく、すごしてくれています。トラブルがないことが飼育員としてとても嬉しいです。
これからも、コブハクチョウたちに大きなトラブルがないように、彼らがのんびりとすごせるように、
飼育管理をしっかりと取り組んでいきたいと思います。
飼育員の考えごとは続きます。
彼らに会いに、ときわ動物園・ときわ公園へお越しください。
担当 坂口