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8月21日 傷病鳥獣保護レポート
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8月21日 傷病鳥獣保護レポート

(カテゴリ:飼育日記) (投稿日:2017年08月21日)

 今年も傷病鳥獣保護で、県内で交通事故や病気で弱った野生鳥獣がときわ動物園に運び込まれています。

まだ保護受け入れ期間の途中ですが、今年は去年と比べて、保護依頼で持ち込まれる野生鳥獣は少ないような感じがします。

その代わり、電話相談が多く、「雛を見つけたんだけど、どうしたらいい!?」

っと相談がとても多いです。

これは良い傾向なのでは?っと感じています。

傷病鳥獣保護の保護依頼で多いのが、誤認保護による鳥類の持ち込みです。

野生動物の生活になるべく、影響をあたえないように、動物園をはじめ、野生鳥獣の保護に関わる団体・施設は

「ヒナを拾わないでね。見守ってね。」

・・っと、誤認保護を防ぐための普及活動に取り組んでいます。

もしかして、この普及活動の効果が出てきている!!?

もしかして、5月に僕がやった傷病鳥獣保護のガイドや園長ガイドツアーで話したガイドの効果が出ているんじゃ!?(←コラ!!)

って思ったり・・・

保護する前に相談してくれたため、今年は何回か誤認保護を防ぐことができ、

救護者の方と一緒に考えて対応することができました。

県民の方々と一緒に野生動物について、考える機会ができ、とても嬉しいです。

しかし、今も交通事故で運び込まれた野鳥や病気で衰弱していた野生動物などが持ち込まれています。

なかには誤認保護と思われる野鳥の雛も持ち込まれています。

まだまだ普及活動には取り組んでいかなければなりません。

前置きが長くなってしまいましたが、

今回は過去に保護された野鳥を紹介します。

モズ.jpg

こちらはモズの雛です。

ネコに襲われていたところを保護されて、動物園に持ち込まれた個体です。

モズのはやにえで有名ですね。昆虫食の彼ら、、、餌には生きた虫や肉類を用意しましたが・・・

食べない・・・。警戒しているのか、餌の好みが合わないのか、全然食べない。口元に餌を持っていっても、無反応。

驚かさないように、そっと餌をそばに置いていても、、、無反応。

このままでは体力が消耗してしまうと判断し、強制給餌で餌を食べさせて、ケアを行いましたが、、、

残念ながら、このモズはすぐに死亡してしまいました。

次に

サシバ.jpg

サシバというタカの仲間です。

地面でじっとしているところ、見つけられ、人がそばによっても無反応で様子がおかしいということで、動物園に連れてこられました。

驚いたのは、捕まえようとしたときに無反応・無抵抗だったそうです。

ワシ・タカの仲間は鋭いクチバシと鋭い爪を持っているため、捕獲するのはとても危険です。

私たち飼育員もタカの仲間の捕獲や治療のため保定するときは長袖・皮手袋着用で作業をします。

そのタカの仲間であるサシバを一般の方が素手で持ってつれてきたので、びっくりしました。

抵抗できないほど、衰弱がひどいのでは・・・もう手遅れかもしれないと思いましたが、

見た目は外傷もなく、痩せもみられない・・・

でも無反応・無抵抗。僕も体の状態を調べるため、サシバを持ったりしましたが、無反応・・・

なんで???

実は、このサシバ、衝突事故で頭を強く打ったのか、原因ははっきりわかりませんが、

目が見えていなかったのです・・・。

目が見えないため、保護されてから、毎朝口元まで水皿を運び、水を飲ませてケアをしました。

水は飲んでくれるのですが、、問題は餌・・・

彼(彼女?)も全く何も食べなかったのです。

サシバ (2).jpg

口元に餌を持っていっても、クチバシに肉をくわえさせても、脚に肉をつかませても、まったく食べようとしませんでした・・・。

最終手段で彼にも強制給餌をしましたが、しばらくして、彼も死亡してしまいました。

野生動物は環境の変化にとても敏感・・・

野生とは違う餌に警戒したのか、

人に警戒し続けたのか、

拒食の原因はわかりません。

僕の餌の与え方、飼育技術の力不足の部分もあるかもしれません。

ただ、今回のケースで、普段人と関わらず、生活している野生動物たちの

警戒心の強さ・繊細さ

そして、その動物たちを相手にする難しさを改めて感じさせられました。

傷病鳥獣保護は、傷ついた野生動物を自然に戻すことを前提に治療・リハビリ・飼育ケアに取り組んでいます。

しかし、保護された動物たちすべてが、自然に戻せるわけではありません。

今回のように助けられなかった個体もいたりします・・・。

野生動物の保護について

野生動物を相手にする難しさについて、

皆さんに知ってもらうきっかけになればと思い、

今回、助けることができなかった傷病鳥獣の保護個体たちをブログで紹介させてもらいました。

彼らの死を無駄にしないためにも、

普及活動や今後の保護個体への飼育ケア・治療にいかしていかねばなりません!

飼育員の奮闘は続きます!!

傷病鳥獣保護 担当 坂口

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