炭都・宇部の歴史を今に伝える、日本初の石炭記念館
石炭記念館ブログ
最近のエントリー
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- 石炭記念館 見どころ紹介!②「展望台[その2]~ 展望デッキ編 ~」(04/24)
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石炭記念館 見どころ紹介!① 「展望台 [その1]~ 展望タワー編 ~」
石炭記念館では宇部炭田や大嶺炭田(美祢市)の炭鉱で実際に使われた道具や機械などの炭鉱資料を数多く所蔵するほか、宇部の海底炭鉱の様子や採掘現場を再現したモデル坑道、炭住の間取りを再現したものなど、坑内の様子や炭鉱での暮らしぶりを伝えるジオラマなども展示しています。そして、屋外では炭鉱の大型機械や炭鉱を歴史を語る石碑などもあり、館内外にたくさんの注目してほしい展示物やスポットがあります。
このシリーズでは石炭記念館を訪れる際にぜひ知ってもらいたい!そんな"石炭記念館の見どころ"をご紹介していきます!
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第1回となる今回は、石炭記念館のシンボルでもある「展望台」です!
ときわ公園を訪れると、石炭記念館の屋上に建つタワーが目に入ると思います。
地上37m、海抜65mあるこのタワーは、宇部炭田の主要炭鉱の1つであった東見初炭鉱で長く使用されていた竪坑櫓を石炭記念館建設の際に移設し、さらにエレベーターをつけて展望台に造り替えたものです。
「竪坑櫓(たてこうやぐら)」とは、竪坑の真上に設置され、坑内から石炭や人を運搬するためにケージと呼ばれるかごを昇降させるためのものです。
わかりやすく言えば地表と地底をつなぐエレベーターで、炭鉱地帯を象徴する施設の1つです。
この展望タワーが竪坑櫓だった当時は地上と電車坑道を結んだ人員竪坑の櫓として活躍し、炭鉱閉山まで多くの炭鉱労働者を運んでいました。
現役当時と比べると色や形状など多少変わっていますが、イギリス様式のバックステイ型の面影を残しており、展望台に改装されているとはいえ、竪坑櫓にのぼることができる数少ない建造物です。
ちなみにこの櫓で使われていた矢弦車(ヘッドシーブ)の2車のうちの1車は石炭記念館前に屋外展示場に保存されています。
現在の展望タワーは赤と白のツートンカラーですが、開館当初は上部の展望デッキ部分を除いて赤一色のタワーでした。
宇部炭田の閉山後、地元有志を中心に石炭記念館建設委員会が結成され、県や市の他、炭鉱関係者をはじめ多くの市民の寄付金により、1969年(昭和44年)、日本初の石炭記念館として誕生した当館。
閉山から2年後という、まだまだ混乱が少なくなかったであろう時期ですが、そんななかでも"宇部にこれまでに無い施設を造ろう"と石炭記念館建設という一大事業に取り組んだのではないかと想像できます。
そして、炭鉱で活躍していた竪坑櫓が新たに展望台として生まれ変わった姿を見た関係者や市民の人たちの感慨もまたひとしおだったことでしょう。
赤くそびえるタワーには、ただ目を引くというだけでなく、多くの人たちの情熱や思いが込められていたのかもしれません。
次回は展望台の続き、展望デッキのことについて書きたいと思います!